
「この前染めた色、すごく好きだったのに、なんだか明るくなってきちゃって…」
先日、鏡越しにお客様が少し残念そうに毛先をつまみながら、そんなお話をしてくださいました。上天草の景色も少しずつ変わり、日差しが優しくなってきたこの頃。ふとした瞬間の光の当たり方で、髪色の変化に気づきやすくなる季節でもありますね。染めたてのお気に入りの色が抜けていくのは、たしかに少し寂しいものです。
どうしてカラーの色落ちって起きてしまうのでしょうか。
私はよく、髪の毛を「スポンジ」に例えてお話しすることがあります。カラーリングは、そのスポンジの中にきれいな色の粒をそっと閉じ込めるようなイメージです。
でも、毎日のシャンプーやドライヤーの熱、そして紫外線などの影響で、髪の表面にある扉(キューティクル)が少しずつ開いてしまいます。すると、せっかく閉じ込めた色の粒が、お湯と一緒に外へ流れ出てしまうんですね。特に、熱めのお湯でシャンプーをしていると、ティーバッグからお茶がじわじわと溶け出すように、色が抜けやすくなってしまいます。
最近は「絶対に色落ちを防ぐ」といった特別なアイテムもたくさん見かけます。もちろんそれらも素敵なのですが、私としては、色が少しずつ変化していく過程も、決して悪いことばかりではないなと思っています。
日々の生活の中で色が淡く馴染んでいくのは、とても自然なこと。スキップでは、無理に強い薬でガッチリと色を固定するよりも、「色が抜けていく時間も楽しめるような色選び」や、髪そのものの「体力を整えること」を大切にしています。ベースとなる髪が元気であれば、表面の扉もパカパカと開かず、結果的にきれいな状態が長持ちしてくれます。
お家でできる、ほんのちょっとした工夫があります。
それは、シャンプーの時のお湯の温度を「いつもよりほんの少しだけ、ぬるめ」にしてみること。38度くらいの、熱すぎないお湯が理想です。これだけで、色の粒が逃げ出すのをかなり防ぐことができますよ。
そして、お風呂上がりはタオルでゴシゴシこすらず、ポンポンと優しく包み込むように水分を吸い取ってあげてください。
毎日頑張っているご自身を労わるように、髪の毛にも少しだけ優しい手加減を。そんなふうにリラックスしながら、移り変わる髪色も一緒に楽しんでいけたら嬉しいです。