
「毎朝アイロンを使っているんだけど、なんだか最近、毛先がパサついて硬くなってきた気がして…」
先日、鏡越しにお客様からそんなご相談を受けました。
朝の身支度って本当に忙しいですよね。その中で少しでも髪を綺麗に見せようと、一生懸命アイロンを当てていらっしゃるお気持ち、すごくよく分かります。でも、毎日丁寧にスタイリングしているはずなのに、なぜか手触りがゴワゴワしてしまう。そんなもどかしさを感じている方は、意外と多いのではないでしょうか。
実は髪の毛って、お料理で使う「卵」と少し似ているんです。
髪の主成分はタンパク質。例えば、生の卵を熱いフライパンに落とすと、あっという間に白くなって固まり、目玉焼きになりますよね。そして、一度固まった目玉焼きは、後から冷やしても元の生卵には戻りません。
これと同じことが、髪の毛にも起きています。高温のヘアアイロンを毎日同じ場所にじっくり当て続けると、髪の中のタンパク質が熱でキュッと固まってしまい、本来のしなやかさが失われてしまうんです。これが、毛先が硬く感じる一番の理由。毎朝鏡の前で「もっと綺麗にまとまって」と頑張っているからこそのお悩みだと思うと、その真面目さに寄り添いたいなと強く感じます。
最近では、数万円もするような高級なヘアアイロンもたくさん登場しています。もちろん良い道具を使うことは素敵なことですが、新しいものに買い替える前に、今のアイロンのままでも出来る「ちょっとしたコツ」があるんです。
髪にとって本当に大切なのは、道具の値段よりも「温度」と「時間」のバランス。
忙しい朝は、つい一番高い温度設定にして、ギュッと力を入れて引っ張ってしまいがちです。でも、髪は私たちが思っているよりもずっと素直で、そんなに強い熱や力を加えなくても、サッと熱を通すだけで十分に形を覚えてくれます。無理に言うことを聞かせようとするのではなく、髪のペースに合わせて優しく熱を届けてあげるような感覚が、実は一番の近道だったりするんです。
明日からの朝のスタイリングで、ぜひ一つだけ試してみてほしいことがあります。
それは、アイロンの温度を「いつもより少しだけ低め(130度〜150度くらい)」に設定して、同じ場所に長く留めず、スーッと滑らせるように通すこと。
もし一度で思い通りの形にならなくても、焦らなくて大丈夫です。一度に挟む毛束の量を少し少なめにして、もう一度優しく熱を通してみてください。ギュッと挟む力を抜くだけでも、髪への負担はふっと軽くなります。
毎日のことだからこそ、頑張りすぎないのが一番です。朝の忙しい時間、少しでもご自身の髪に触れるひとときが「心地よいもの」になれば嬉しいです。今度お店にいらしたときは、また髪の調子を教えてくださいね。ゆっくりお話を聞かせていただけるのを楽しみにしています。