
先日、カットでご来店されたお客様が鏡を見ながら、ふとこんなことをおっしゃいました。「カラーしてすぐの時よりも、今くらいのちょっと色が抜けてきた頃の色が一番好きなんですよね」。
鏡越しに見えるその方の髪は、光に透けるとふんわりとした柔らかい色合いになっていて、今の雰囲気にとってもよくお似合いでした。
ヘアカラーというと、どうしても「染めたその日が100%の完成形」と思われがちですよね。でも実は、少し時間が経ってからの方が、ご自身のお顔立ちや肌の色にスッと馴染んでくることがよくあるんです。
これって、カレーや煮物が作ってすぐよりも、一晩寝かせた翌日の方が味がまろやかになって美味しくなるのに、少し似ているかもしれません。
染めたての髪は色素がしっかりと詰まっているので、綺麗ではあるものの、少しだけ硬い印象になりがちです。そこから毎日のシャンプーや日差しを浴びることで、少しずつ余分な色素が抜け落ちていきます。すると、その人本来が持っている髪の色と、カラー剤の色が少しずつ溶け合い、世界に一つだけの「オリジナルカラー」へと変化していくんですね。
最近は「色落ちしない」ことを重視するカラーも増えていますが、色が変化していく過程そのものを楽しむのも、ヘアカラーの素敵な醍醐味だと思っています。
色が抜けていくことを「退色=ネガティブなこと」と捉えるのではなく、日々の生活の中で自分色に育っていく髪を愛おしく感じる。無理に流行りの色を追いかけたり、頻繁に強いお薬で染め直したりしなくても、その時々の髪の表情をゆったりと受け入れて楽しむことが、自然体で一番素敵なことなんじゃないかなと、お客様の髪を見ながら感じました。
そんな「お気に入りの色」になった時、その状態を少しでも長く楽しむための、お家でできるちょっとしたコツがあります。
それは、シャワーのお湯の温度を「ほんの少しだけ下げる」こと。
寒い季節はつい熱いお湯で流したくなりますが、髪にとっては38度くらいの「少しぬるめかな?」と感じる温度が一番優しいんです。お湯が熱すぎると、髪の表面のキューティクルがパカっと開いてしまい、せっかくの綺麗な色が外へ逃げやすくなってしまいます。
今日からお風呂に入る時、シャワーの温度を少しだけ気にかけてみてくださいね。
日ごとにほんの少しずつ表情を変える髪色を楽しみながら、今日も心地よい一日をお過ごしください。