
最近、お店の鏡越しにお客様とこんなやり取りをすることがよくあります。
「髪色を落ち着かせたいけれど、真っ黒にはしたくないんです」
お客様の少し迷っているような、でも新しい自分に出会いたいような表情を拝見していると、ふと季節の移ろいを感じます。上天草の海の色が、季節によって明るいブルーから少し深みのある穏やかな色へと変わっていくように、私たちの気分も自然と落ち着いたトーンを求めるタイミングがありますよね。
「暗くしたいけど、黒は嫌」というそのお気持ち、すごくよく分かります。真っ黒にしてしまうと、どうしてもお顔の印象が重く見えてしまったり、せっかくのふんわりした髪の動きがペタッと見えてしまったりすることがあるからです。
洋服のコーディネートに例えるなら、全身を真っ黒でまとめるよりも、少しだけチャコールグレーやネイビー、あるいは深みのあるブラウンを取り入れたほうが、全体の「抜け感」が出て柔らかく見えるのと同じかもしれません。髪色も同じで、光に透けたときにほんのり柔らかさを感じる「余白」があることで、お顔の表情や肌の透明感までグッと引き立って見えるんです。
美容の業界では日々新しい名前のついたカラー剤や流行りのメニューが登場しますが、スキップが大切にしているのは「目の前のお客様の、今の気分に一番しっくりくる等身大の髪色」です。
無理に流行のスタイルを追いかけなくても、ほんの少しアッシュやベージュを忍ばせた「透明感のある暗髪」にするだけで、髪本来のツヤが驚くほど蘇って見えます。今まで明るく退色して少しパサついて見えていた毛先も、落ち着いた色味をふわりと重ねることで、まるで丁寧にトリートメントをしたかのように潤いをまとってくれる。それが、今の自分にフィットする暗めカラーの大きな魅力だと感じています。
もし今、「なんとなく今の明るさに飽きてきたな」「でも黒染めはちょっと勇気がいるな」と迷われているなら、ぜひそのモヤモヤしたお気持ちをそのまま教えてくださいね。うまく言葉にならなくても、一緒に鏡を見ながら「これくらいの色味が落ち着きますね」と探していく時間も、私にとってとても楽しいひとときです。
そして、カラーをした後はご自宅でのちょっとした工夫で、その綺麗なツヤを長持ちさせることができます。お風呂上がり、ドライヤーをかける前に目の粗いコームで優しく髪をとかしてあげる。たったこれだけのことですが、髪の表面が整って、翌朝のまとまりと光の反射が驚くほど変わってきますよ。
髪色が変わると、ふと鏡を見たときに少しだけ気持ちが弾むものです。皆さんの日常が、ほんの少しでも心地よく、心穏やかなものになりますように。